スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【拡散希望】大阪労働者弁護団 有期労働契約に関する法改正に対し声明発表!

 大阪労働者弁護団が、「有期労働契約に関する労働契約法改正案に対する意見書」と題し声明を発表しました。その全文をここに紹介します。有期雇用を理由に雇い止め解雇になり、争議を行っている組合員を抱える大阪全労協青年部として、大阪労働者弁護団が発表したこの声明を、全面的に支持します!



有期労働契約に関する労働契約法改正案に対する意見書
              
2012年6月15日
大阪労働者弁護団
代表幹事 大川一夫


一 はじめに
 2012年3月23日、政府は、「労働契約法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に上程し、今国会での成立を目指している。同法案は、有期労働者が安心して働き続けることができる社会を実現することを目的としながら、有期労働者が増加した根本的な原因を取り除こうとしていない上、法制化によって、有期労働者の立場がさらに不安定化しかねない危険をもはらんでいる。この観点から、同法案に対する当弁護団の意見を述べる。

 有期労働契約は、契約期間中の解雇は厳しく制限されるものの、期間満了をもって契約は終了するという契約形態である。言うまでもなく、無期雇用契約の場合、正当な理由がなければ解雇することができない。恒常的業務についての労働契約でありながら、無期雇用ではなく有期雇用がこれほど多用されるようになったのは、無期雇用契約における解雇制限法理を回避し、自由に契約関係を終了させたいという使用者の目的があったからである。すなわち、有期労働契約は、使用者において、解雇制限法理の適用を免れるための方策として利用されている実態が存するのである。

 このような利用を一切規制しないままであったから、有期労働契約の比率は増加の一途をたどり、現在、多くの労働者が、雇止めの雇用継続への不安を抱えながら就労せざるを得ない状態に押し込められている。このような根本的な問題を解決するためには、解雇制限法理の適用を回避するための有期雇用契約の締結自体を規制すること、すなわち、恒常的業務に対しては、休業する労働者の代替として雇用する場合など、客観的合理的事由がある場合以外には有期労働契約を締結することを禁止することが必要である。

 しかし、今回の法案は、有期労働契約を「雇用機会の確保や業務量の変動への対応に一定の役割を果たす」ものと位置づけ、これを積極的かつ肯定的に評価する考えを出発点としているため、恒常的業務に対しても契約期間を有期として労働契約を締結することには何ら規制を加えなかった。これでは、恒常的業務であっても有期労働契約が多用されるという現状を変えることはできない。従って、本法案が成立しても、有期雇用の割合が減ることを期待できず、引き続き、多くの労働者が雇用継続の不安を抱えたまま就労せざるを得ない。

 今回の法案は、有期の契約で働く労働者にとっての根本的な問題を取り除くための方策をとらなかったものの、現状改善策として、大きくは、①無期契約への転換権の制度、②雇止め法理の明文化、③有期契約であることによる不合理な労働条件の禁止という3点にわたる改正を実施しようとしている。しかし、今回の法案のままでは、有期労働者の現状を改善するどころか、逆に現状より悪化させかねない。

 そこで、以下、各問題点を指摘するとともに修正すべき内容を指摘する。


二 無期契約への転換制度の導入について
 法案では、有期労働契約期間が通算して5年を超える場合、労働者が期間の定めのない労働契約締結の申し込みをしたときは、使用者は当該申し込みを承諾したものとみなす、とされている。これは、有期労働契約が5年を超えて反復更新した場合、労働者は、無期契約転換の申出権を取得すると説明されているが、以下のとおり不十分な内容である。

 まず、5年を超えるという要件が長期に過ぎる。例えば、韓国においては有期雇用が2年を超えた場合、無期雇用とみなすとの法律がある。我が国でも労働基準法が有期労働契約期間の上限を3年と定めたことと比較しても5年は長すぎ、せめて、「3年を超える」と修正すべきである。

 次に、転換の申出権しか取得しないというのでは、労働者にこの制度が十分に周知されずあまり利用されないことが予想されるし、弱い立場にある労働者にとっては、申し出すること自体が難しい場合も考えられるから、不十分である。従って、「無期契約とみなす」との規定が適切だと思われる。

 また、みなし規定が導入される場合であっても転換の申出権取得にとどまる場合であっても、その期間が到来する前に大量に雇止めされるという副作用が発生することが予想されるから、転換申出(ないし無期契約への転換)を回避する目的での雇い止めを禁止する規定を置くべきである。そして、このような禁止規定を実効あるものとするためには、少なくとも有期契約期間通算4年を超えた段階で行われる雇い止めは、転換申出(ないし無期契約への転換)回避目的と推定されるとの規定を置く必要がある。

 最後に、いわゆるクーリング期間の導入がなされていることが大きな問題である。これは、一つの有期契約期間の満了と、次の有期契約期間の初日までに、空白期間(通算期間が1年以上の場合は6ヶ月、通算期間が1年未満の場合はその2分の1に相当する期間)を置けば、「空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は通算契約期間に算入しない」というものである。しかし、これは、クーリング期間さえ置けば、有期労働契約の形を何度でも何年でも繰り返せるというものであり、無期労働契約への転換からの抜け道を法が自ら示すものにほかならない。また、クーリング期間だけ、労働実態はかわらないのに有期労働契約の形態ではなく派遣に切り替えるなどの形での脱法的クーリングが行われる危険も大きい。

 したがって、クーリング期間の定めは削除すべきである。


三 有期労働契約の更新について
 法案では、有期雇用契約に解雇権濫用法理が類推適用されてきた判例法理を法定化する趣旨の規定が置かれているが、以下のとおり、現状の規定は極めて不十分である。

 そもそも有期雇用契約に解雇権濫用法理が類推適用されてきたのは、恒常的業務であるにもかかわらず、解雇規制の適用を回避する目的で有期労働契約が多用されてきた実態がありながら、これを規制する手段がなかったため、有期であることを理由に使い捨てにされる労働者を救済するためである。このように労働者を救済する法理として確立されてきたことを想起すれば、恒常的業務に対して契約期間を定めて労働契約を締結すること自体に何らの制約を加えなかった現行法案ははなはだ不十分である。

 この点を措いても、法案によれば、契約更新につき、労働者からの期間満了時又は期間満了後遅滞なき申込みがあることを要件に加えている点は、判例法理にはない要件を加重するものであって、問題である 。

 また、法案では、契約更新の要件の一つとして「当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること」が定められている。しかし、従来の判例法理では、雇い止めが社会通念上認められないのは、単に「労働者がその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合」であるとしているにすぎない。すなわち、期間満了後の雇用契約の期待に合理性が認められることを要求しているだけであり、「契約期間の満了時」という判断基準時の限定はない。法案は、雇い止めが許されない場合に、従来の判例法理にはない新たな要件を付加するものであるから、不当である。

 さらに、これまでと異なり、法案により「通算契約期間」という概念が新たに生じることになるから、通算契約期間内の場合には契約更新の合理的期待が生じないという誤解を招かないために、有期労働契約の「通算契約期間」の上限に満たない場合も同法理の適用がある旨を明文化することが不可欠である。


四 有期契約であることによる不合理な労働条件の禁止
 法案第20条は, 有期労働契約の労働条件が「同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の・・・労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、・・・不合理とみとめられるものであってはならない」として、不合理性判断の要素として、①労働者の業務の内容、②当該業務に伴う責任の程度、③当該職務の内容、④配置の変更の範囲、その他の事情を考慮するとしている。

 雇用形態による労働条件差別は、民法の一般条項により無効・違法となりうるが、明文の禁止規定がないため、有期労働契約であれば廉価な労働力が確保できるという誤解が生まれ、正規労働者と同様の基幹的・恒常的業務に従事する有期契約労働者の増加につながっている。

 本条項新設の趣旨は、平成23年12月26日労働政策審議会報告によると、「有期契約労働者の公正な処遇の実現に資するため」とされている。

 しかし、まず第一に、同一労働同一処遇の原則を明確にしないまま、労働条件に差異を設けることを認めている点で、「均等待遇の明文化」と評価しえない。「均等待遇」を定めるのであれば「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件は、期間の定めがあることにより、同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件より、不利益なものであってはならない」という同一労働同一処遇の原則を明確にすべきである。

 第二に、本条項は、労働条件の相違の不合理性について労働者側が立証責任を負うと解釈されるおそれがある。本条項が新設され、労働者側に立証責任を負わせる形で運用されると、現在の労働者保護より後退する結果となる。前述のとおり、不利益取扱いの禁止を原則とすることにより、例外的に労働条件に差異を設けようとする使用者に、その差異の合理性についての立証責任を負わせるべきである。

 第三に、労働条件の差異について合理性が認められない場合の効果が不明である。合理性が認められない差異については「無効とする」との規定が必要である。また、無効となった部分については「労働契約の期間の点を除いた部分につき、期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と同一の労働契約が成立したものとみなす」として、私法上の効果を明らかにすべきである。

                                          
以上

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ozspring

Author:ozspring
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。