スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

労働情報連載エッセイ㉑:「下流テロ」より「労働運動」

労働情報連載エッセイ「若者が変える 若者と変える」の第21弾の紹介です。
 
『下流テロ』より『労働運動』  

2013年10月、水産大手マルハニチロホールディングスの子会社「アクリフーズ」の群馬工場で製造された冷凍食品から、農薬「マラチオン」が検出される事件が起きた。その後、容疑者として同工場で働く契約社員が逮捕された。

 2012年、アクリフーズは「公平でやる気の出る人事制度を制定します」と銘打ち、時給を820円から900円に上げた。しかし同時に、技能手当、家族手当、早出・遅出手当を廃止したことにより、今までよりも給与が下げる結果となった。容疑者は、上司に待遇改善を求め直訴したこともあれば、好待遇を求め転職を試みたが失敗した経験もあるという。逮捕直後から、待遇への不満が犯行の理由ではないかと報道された。
 
 この事件について、ネット上で「下流テロ」と表現しているのを見つけた。実に嫌な言葉だけれど、ある意味、表現は的確だ。2008年に起こった秋葉原通り魔事件や中国製毒入り餃子事件。2013年に起こった、広島県江田島市の牡蠣養殖加工会社で8人が殺傷された、江田島中国人研修生8人殺傷事件。これらに共通していることは、全員非正規労働者であり、不安定な雇用、過酷な労働環境に置かれていたということだ。こういった事件が「下流テロ」と呼ばれるのだろう。昨年は、コンビニや飲食店の店員が、アイスクリームケースや冷蔵庫に入っている写真をインターネットに投稿し、炎上の結果、店が閉店に追い込まれるという事件や、クレジットカードを利用して買い物をした芸能人のレシートを、Twitterで勝手に公開したという事件もあった。アルバイトによって引き起こされたこれらの出来事は、「バイトテロ」とも呼ばれている。当然個人のメディアリテラシーの問題もあるが、非正規労働者を大量に雇い、教育にかける時間や労力を惜しんだ結果、予想を超えたところで暴走するSNSに、使用者側は足をすくわれた。
 
 当事者だった者として、非正規労働者の鬱屈した気持ちは理解出来る。しかし、「下流テロ」などと呼ばれ腹立たしくないか。私たちには、テロの前にやれることがある。「下流テロ」よりも「労働運動」。テロリズムよりアクティヴィズムだ。
 
 まずは、憲法28条に保障されている労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を徹底的に使い倒してみる。この権利は、正規労働者だろうが、非正規労働者だろうが、全ての人に保障されている。しかし、労働組合に入らなければ(作らなければ)活かせない権利だ。保障された権利を使ってもみないうちから、失望にかられ「テロ」を選んではならない。失望する前に、「労働運動」という可能性がある。憲法28条を盾に、一度正攻法でキッチリ闘ってみよう。結果は私のように負けるかも知れないし、勝つかもしれない。しかし、その体験を経て労働者は確実にたくましくなる。
 
 待遇改善を求め上司に直訴したというアクリフーズ事件の容疑者。1人ではなく、みんなで闘う方法があることが伝わっていない。「テロ」ではない闘い方を、探している人達がたくさんいる。そこにどう伝えていくか、私たちの側が問われている。
 
 
2014年2月1日&15日発行 労働情報881号

大椿裕子(おおつばきゆうこ)
大阪教育合同労働組合副執行委員長。大阪全労協青年部。
関西学院大学雇止め解雇事件被解雇者。
最近のオススメ映画は、伊藤めぐみ監督『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件・・・そして』。戦後のイラクの実情を知り、「自己責任」という言葉が持つ暴力について考えさせられます。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ozspring

Author:ozspring
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。