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東京都労委あっせん員・水谷研次さん/非正規労働者の団結権擁護こそ求められる

 東京都労委あっせん員の水谷研次さんが、季刊労働法に寄稿された論文の中で、『関西学院大学障がい学生支援コーディネーター雇止め解雇事件』について取り上げています。非正規労働者の声を代弁し、労働委員会の在り方を問うています。特に、大阪府労働委員会への厳しい指摘は見逃せません。その部分を抜粋し、紹介させていただきます。


季刊労働法240号(2013年春季)
第2特集 労働委員会の現在と課題労働印会に求められる問題意識
水谷研次(東京都労委あっせん員)

(4)非正規労働者の団結権擁護こそ求められる

 もっともっと最近の労使関係の劣化を現す事件を紹介してみたいが、紙面の都合もありここで終わりにする。なおここでは、東京都労委を基準として記述しているが、中労委を含め、他の労委ではそれぞれがかなり異なる環境下にあることを申し添えておく。私が毎号のように寄稿している『労働情報』という雑誌の853号で、大阪府労委、中労委で棄却された「関西学院大学障がい学生支援コーディネーター雇止め解雇事件」を紹介・批判した。そこでは、司法も労働委員会も、日本の雇用社会も、非正規労働者に厳しく、冷たい旨を主張した。せっかく労働契約法が改正され、同法20条に「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」規定が制定されたが、その立法趣旨は、今回の棄却命令には何ら反映されていない。

 もとよりこの条文自体も、同一の使用者と労働契約を締結している有期と無期の労働者との間で、期間の定めにより労働条件を不合理に相違させることを禁止しているのであって、なぜ有期雇用が強いられるのかを問題にしてはいない。しかし、女性労働者の過半数が有期雇用契約であり、それゆえに極めて不安定な雇用と低い賃金・労働条件を強いられている現実を決して看過できないはずだ。

 有期労働者にとっての厳しい現実は、低賃金・差別、雇い止めの不安の中で働いていることだけではなく、その現実を批判し、声をあげると雇い止めになるという、「解雇規制」がきちんと適用されず、「団結権」という「正当な権利行使」ができにくことにも起因する。そんな非正規労働者の現実を、どこまで配慮し、健全な労使関係を構築させようと考えているのか、そこまで思慮してこそ本来の労働委員会だと訴えたい。

 なお、この関西学院事件で棄却命令を出した大阪府労委は、昨年の全労委総会資料によれば2012年前半期の不当労働行為命令15件の内、棄却11件・却下3件で救済は1件だけという異様な事態となっている。ちなみに東京も同じく15件だが、救済14件棄却1件だ。なにかがおかしいと素朴に感じる。

 労働委員会というシステムは、裁判所のように権利義務関係に基づき白黒を判断するのではなく、健全で安定した労使関係を創り上げるためにある、とされる。すでに労働者の三分の一を占めるに至った非正規労働者の組合結成や労働組合加入がなぜここまで少ないのか、憲法で保障された労働基本権から「排除」されているのか、そんな問題意識を労働委員会には求めたい。労働委員会には、集団であろうが、個別であろうが、紛争解決に当たるだけではなく、なぜそのような紛争が起きるのか、原因にさかのぼって検証し、公・労・使委員と行政がそれぞれの立場に持ち帰り、施策や運動に活かしていただきたい。そのための公・労・使三者構成であり、行政委員会というシステムだ。関係者のさらなる改革努力を期待し、私自身も努力を続けたい。

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